地下足袋山中考 NO26

<東北の山の魅力>

 日本生産性本部「レジャー白書2012」によると、2009年移行初めて登山人口がスキー・スノボー人口を上回り1000万人に増えたという。●その背景には圧倒的な団塊世代から晩期高齢者に加えアウトドアー各社の戦略的な山ガールズの呼び込みにある●全国の登山ショップの一角は山ガールズの専門コーナが陣取っている。若い女性グループだけの登山ブームはトレンド化しつつある●テレビの自然番組も追い風のようだ。世界の名峰、体感グレートネイチャー、ワイルドライフ、日本百名山、絶景百名山、花の百名山、自然への誘い、さわやか自然百景等々が山行を誘っている●森吉山麓のバスツアー客も仙台や関東圏からの圧倒的な女性層だ。登山経験を問わず東北の山が賑わう理由がある●それは、日本アルプス3千b級の峰々は森林限界が高く花園までは片道68時間の急登を強いられる。岩稜の雲上トレックは別世界だが花園は規模が小さい。混み合うシーズンの山小屋は一人畳半畳の雑魚寝状態で中高年のご婦人には酷となる●一方、北海道大雪山系の花園は別天地だが、食料とシュラフ持参の避難小屋泊となり長距離の縦走はガイド付きのツアー参加か経験豊かなリーダーが必要となる●その点、優美で個性的な山容を誇る北東北の名山は、ブナ林と渓流が重なりオオシラビソ林から高山帯への垂直分布が見事で、豪雪の恵みである大きな雪田が随所に発達し初夏の雪解け後はお花畑と化す。1200b付近から高山帯となるため、麓の温泉宿から日帰りで雲上の花園と対面できるアプローチが人気の理由である●社会的動向を1つ加えると10年が経過した介護保険サービスの恩恵がある。旅行会社の中にはツアー参加者家族のショートステーの対応も行う。家族介護から徐々に解放されたご婦人に余暇をもたらしたことも要因であろう●生瀬を重ねるごとに日本百名山から200名山の低山紀行へ。山小屋泊から麓の温泉宿で食を楽しむスタイルに移行していく。そんな山旅を提供する役目を「ぐるっと森吉山」も果たしているようだ。(2013.420